2011年の東日本大震災のあと、出来事のすべてを見ていた石の声を聞くために、被災した東北の町を訪れました。その体験で、地球上のすべては自然であることを再認識し、人々が石を通じて自然の一部であることを感じれば、世界は一つになれることを確信しました。

2013年には、3つの巨石をハートの形に彫り、市民500人と石を磨いた作品「Our Love」が、第25回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)で大賞を受賞し、市民参加の「Love Stone Project」が世界各地に広がる、きっかけとなりました。以降、「Love Stone Project」は、アメリカ・メキシコ・イタリア・フランス・スペイン・ベトナム・カンボジア・ブータン・ネパール・エチオピアなど、世界150か所で行われ、およそ2万人が参加しています。

今夏、小松石の石切り場で今までで最も大きなハートを彫りました。彫刻にとって聖地とも言える、特別な場所「MANAZURU」で皆さんとこのハートを磨くことを誇りに感じるとともに、56年前の東京五輪のために同じ石に鑿をあてた先達への恩返しの気持ちで私も磨きたいと思います。